通信の高速化

さて、前回までのブログでは1980~1990年代の日本の半導体業界についてお話いたしました。その後、インターネットが登場し、携帯電話が登場し、通信というものが本当に大きく変身しました。これも、チップの高性能化によって光通信やより高周波の電波をキャリアに使用できるようになり、通信速度が飛躍的に速くなったおかげです。簡単に云うと、より多くの情報を短時間に送れるようになったこと、世界中の情報やメディアデータに廉価にアクセスできるようになったからです。

世界中の情報が手軽に入手でき、電話が個人対個人になり、本当に便利になりました。携帯電話(ガラケー)はあれ程利用されていたのにスマホが登場したらあっという間に消滅しました。まるで恐竜が地上で一番繁栄していたのがあっという間に絶滅したのに似ていますね。

半導体革命によって、高速で廉価なハードが生み出され、さらにソフト革命と通信革命が引き起こされ、一口で云うとスマホの時代となり世の中の風景が一変しました。第三回の「栄枯盛衰」で書きましたが『さらに小さくさらに細かく複雑に・・・』が進み、とんでもない投資金額が要るようになりました。

80年代の半導体領域を席捲していた日本の半導体メーカーはすべて、セット部門を頂点とした垂直統合型の形態の一事業部でした。セット部門の製品を支えるための下請けの位置づけです。そのような部門が大胆な最先端新規技術開発、新規工場の投資判断をすることはできません。

台湾の片隅で驚天動地のコペルニクス的転換をもたらした男と彼の企業が生まれたのは実はこの通信の高速化の少し前です。曙と云うのは夜明け前らしいですが、新しい時代の曙は暗い闇の中で始まっていたことに驚きを禁じません。